tete-a-tete

夕凪ショウの同人活動の他、行った場所や観た映画などの記録です。

トランセンデンス観た。

新刊に関係あるようで無いような近況雑記。

◆『呼吸,発声,歌唱 / D.F.プロクター 著 原田康夫 訳』を読みました。喉のお医者さんが歌やなんかについて書いたもので、ミク廃的にはちょっと面白そうだなと思ったので。
喉頭誤嚥を防ぐための単なる弁として系統発生学的な発達を遂げたもの。
・オペラの盛んな中世ヨーロッパでは、美声を保つために少年たちを去勢する習慣があった。大人の声量と子供の喉で、それはそれは素晴らしい声だったそうな。この去勢歌手はカストラートと呼ばれ、同名の映画もあるらしい。Wikiには”高音域は女声ソプラノ、低音域は男声カウンターテナーが担当し、フランスの電子音楽研究機関であるIRCAMが音声変換を担当した。このコンピュータはカストラートと同じく "Farinelli" と名付けられた”とか書かれていて、DAISYHAL9000に並んでボカロ系創作のネタに使えそうだなと。
・副鼻腔は声の共鳴器
・ふつう、激しい運動の最中には大きな声は出しにくいが、両手の筋肉を使うような仕事をするときには、かえって呼吸の動作が良くなる。おそらく腕と胸郭の関係で、腕を広げると自動的に深呼吸することになって、それで云々というメカニズムなのだろう。息を出すことと腕の動作をすることが同時に起こりると、それが掛け声となる。(Chaingang song、Sea chanteys)
手を動かすと大声が出るのか、声を出すと力が入るのか、複数人数で動作を合わせるのに便利だとか、気力を保つためだとか、色々あるのだろうけど、炭鉱夫や漁師の方々の掛け声や歌のことを考えてみたとき、『うた』の発生する場面のひとつとして頭にメモしておいていいな、と。
・話すことや歌うこと、私たちが当たり前にできるし、そのメカニズムもわかっていると思っていること。そういうことを当たり前にできない存在(ミク!)によって初めて意識する。
・言葉や歌は呼吸の特別の副産物である。

◆映画『トランセンデンス』観た後の一連のツイートを貼っておく。ネタバレ注意。
・スケールは一周回って小さいというか、広げた風呂敷を愛だよの一言でオチ付けられてえぇ〜ってなった…(´・ω・`) SFじゃなくてラブストーリーやりたかったのか…?心が通じ合ってないとお互い誤解してすれ違うのは、相手がAI化したとか関係ないでしょ…
・AIに移植した夫の意識が目覚めたとき、画面に表示された映像に対して、友人「これはあいつじゃない!メモリに残ってたただのデータだ!」妻「これは初デートで撮った写真よ!データじゃなくて思い出よ!(memoryって単語をどちらに対して使ってたのか聞き取れず)」って場面がぐっときた。
・AIに自我が芽生えるのでなく、元々ある人格をAIに乗せるという点で、夫妻2人の物語でしかなかったというか…夫の性格設定上は辻褄合うけど。姿や思考が変わっても愛を保ち続けました!まあ素敵!でいいのか?それじゃ既存の枠を超えてない…。
・AI化した夫がホルモンや心拍の数値で妻の感情を理解しようとしたように(そんなのデリカシーが無い!って描かれ方だったけど、それは妻への伝え方が不器用なだけで、方法としては今もよく行われてるものだし)、拒絶・破壊するのでなく、新しい思考方法に対して歩み寄るべきだったのでは
・複数の人間へ自分の自我を憑依可能にしてたのは、単にAI主の思慮不足だろう。そのボディに元あった人格をないがしろにしてるんだから。その線引きを守れば良かっただけなのでは…
・広大な砂地に荒廃した町、DINERとMOTELとトレーラーハウス、っていう風景は、Continue?9876543210のステージと同じで、これがアメリカなのか…と。

◆漫画でコマ割りする意識で映画を観てたら、シーンのつなぎ方は完全な時系列順ではなく、朝の1時間・昼の1時間・夕方の1時間 を数分ずつ交互に見せて、登場人物の行動とその意図は、視聴者には最後に一気に分かる、という作りになってた。ひきつける→わかるのリズムを繰り返すのだろう。
漫画のネームを切ってる時、「設定は言葉で説明(モノローグでキャラクターに語らせたり)したくなるけど、そうじゃなくてお話の中で読者に伝わるように説明すべき」ってアドバイスをもらって目から鱗だったこと。インディーズゲーム製作者のドキュメンタリー映画を観たとき、試行錯誤の中でプレーヤーがルールを理解できるようにステージを設計しておく、それが製作者とプレーヤーのコミュニケーションなんだと言っていて目から鱗だったこと。プレゼンの作り方解説を見ていて、「見てわかるスライドを作れば話し方がどうであれ伝わる」と書かれていて目から鱗だったこと。そういうことがだんだん繋がってきて、伝えるってそういうことなのかなぁと考えている。

最後に、フォロワーさんのつぶやきをひとつ。何の映画の感想だったか忘れてしまったけど…(いよさん勝手に貼っちゃってごめんなさい)