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夕凪ショウの同人活動の他、行った場所や観た映画などの記録です。

「絵にみる子どもの発達―分析と統合」を読んだ

「絵にみる子どもの発達―分析と統合 / J・H・ディ・レオ」を拾い読みしました。こういった本でも音素って言葉が出てくるとミクさん回路が反応します。

・“in/fant”は“not/話す”という意味。
・子供は内言語話し言葉の理解→話す/言語表出→読み→書くの順で言語を獲得する。
(前エントリで書いた本によると黙って考えることができるようになるのは、話しながら考えられるようになれた後とあるので、この場合の「内言語」は言葉を用いない思考?)
・生後6週間で笑うようになり、8週間で母音を、6ヶ月で子音を、9ヶ月で喃語を、1歳で1,2語を話す。その後ジャーゴンを経て、18ヶ月で10語を、2歳で200語を学ぶ。
・子供は言語理解や言語表出の前から、意味を感じ取ったり考えたり行動したりできる。抽象的な深層を先に、具体的な表層構造を後に獲得する。
・子供は母国語の構文規則を無意識下に獲得する。子供が聞いたこともない文を生み出すのは、大人の言葉を模倣するというより創造的に利用するからである。子供の会話の間違いは母国語自体がはらむ矛盾のせいだ。

7章43頁から引用
ブラウンの文献「Development of the First Language in the Human Species」より,「……英語を学んでいるほとんどのアメリカの子どもたちは4歳頃,himselfよりむしろhisselfを使う。どんなふうにしてそうなるのだろう。子どもたちは,誰からも聞いたこともないようなことばを使うので,おそらくことばを組み立て構成するのだと思われる。なぜ子どもたちは,大人の視点からみると間違いであるようなことをねつ造するのか。それに答えるために,himselfによく似たひとまとまりのことば,myself,yourself,herselfを思い起こすとよい。男性の所有格はhisであり、英語に一貫性があるのなら、再帰代名詞はhisselfになるはずだ。ところが標準英語はこの点において矛盾しており,むしろ不規則で,himselfが好まれる。hisselfをねつ造することによって子どもたちは,言語のもつ不規則性を取り除き訂正している。そしてついでながら子どもたちが学んでいるのは,耳から入る単なることばや慣用句ではなく,構文の一般規則であることを示している……」と。

・研究者達が長年 頭を悩ませていた古代言語の解読に最も早く成功したのが、遺跡調査についてきてた研究者の息子だったとかいう話を思い出した。
・絵について、子供は知っているものを描く。例えば、目の前に座っている人の横顔が見えていても、絵には正面の顔を描く。あるいは、家の中に居る人が透けて見えている絵を描く。成長に伴って、こうした知的リアリズムから視覚的リアリズムへの変化が起こる。家の壁は透けなくなり、写実性や客観性を持ち始める。
・“子供は自由に絵を描く”と考えていたが、その実ものごとを主観的・抽象的に捉えている。子供みたいな絵を描くというのは、むちゃくちゃに描くのでは無く、客観性から解放されることなんだっていうのを、やっと理解した。大人こそ対象物の構造を理解していないと絵は描けないというのが実感だったけど、写実的な理解と「家の中に人が居る」という主観的な理解(知っていること)は似てるようで違うんだなぁと。

・愛着形成が起こらないと、生物も無生物も同じように扱う。