tete-a-tete

夕凪ショウの同人活動の他、行った場所や観た映画などの記録です。

2011夏 美術館巡り そのろく

*四日目*
今度こそヨコハマトリエンナーレのレポートを。
まずは日本郵船海岸通倉庫。その名の通り大きな倉庫が会場となっているので、こんな柱があったり。撮影おkだったので撮ってきました↓右側は作品です。

この日は突然の豪雨に見舞われて、会場内はところどころ雨漏りしていましたw

面白かったのがこちら。リヴァーネ・ノイエンシュワンダーの「プロソポピーア」。石鹸にひらがなが刻印されています。これで言葉を作って遊んでください、という作品。大人も子供も案外夢中になるものですw

「うんこでございます」「あごがでる」「まどもあぜる」…

勿論私もその一人で、「はつねみく」を作ろうとしてました。でも「ね」を探してるうちに他の人に「おちゃくみ」にされてしまいましたw

自分の好きな言葉を作ろうと石鹸を取り合う様がちょっとおかしくて、そこから連想していくつかツイートしたのでメモ。
・デジタル化が極まり手で文字を書くことが無くなった未来。一切の筆記具が失われてしまったので、紙に文字を記すには、過去の書籍や手紙などに残された手書きの文字をほどいて糸にしたものを使うしかない。…というのを考えた。既出かな?
・文字屋では鉛筆やインクなど、種類別に文字の毛糸玉が売られている。どの時代にどんな人が書いた文字かによって、文字糸の値段は変わる。比較的安価なものは、タイプライターなど判を押す方法で印刷された文字を1つずつばらしたもの。このタイプの文字は量り売りされる。
・特別な日に手料理が喜ばれるように、特別なメッセージのために手書き文字を用いる。新しい文字糸を買えない時は、自分の持ってる(それも自分への大切な贈り物だったり)文字をほどいて編み直す。文字がレアメタルみたく高価な限られた資源なら、それを巡って争いとか起こるのかな。

キイロダカラが沢山!昔貝の採集と同定に凝っていたことがあるのでついはしゃいでしまいましたw


カールステン・ニコライ 「フェーズ」
透明ビニール製ののれんをくぐって暗い小部屋に入ると、霧が立ち込めています。さざなみのような音と共に、壁の高い位置から光が射しては揺らぎ、消えてはまた現れる作品。手を伸ばすと光線が遮られて、自分の手の形に細長い影ができます。クッキーの抜き型のように黒い影が壁まで伸びる光景は新鮮でした。後で知ったのですが彼はエレクトロニカ・ミュージシャンとしても活動しているそうです。

クリスチャン・マークレー 「The Clock」
何本もの映画から時計の映っているシーンを切り取り、貼り合わせて24時間の長さにし、実際の時間と同期させて放映される映像作品。例えば、男性が電話をかける白黒映画のワンシーンの後、別のカラー映画で女性が受話器を取るシーンが繋ぎ合わされるなど。店の前で開店を待ち並ぶ人々、貴金属店でアクセサリーを失敬する人、慌ただしい病院の一角で処置をする人々、眠りから目覚めたり喧嘩したり…。それらが少しずつ関連を持たせて繋ぎ合わされています。ええ、要するにMADですw
異なる時代、様々な人種の人々がそれぞれの生活をしているんだなぁと思いながら一時間ほど見ていましたが飽きませんでした。繰り返し時計が映るのですが、地球のあちこちではそれぞれ標準時間が違うことに思い当たると不思議な気分になりました。だってこの『今』も、地球全体で見れば24時間を同時に過ごしていることになるんですよね。

さて、この会場の横には小さなアトリエがあって、おじさんが1人居ました。招かれて中に入ってみると、瀬戸内国際芸術祭の時に男木島で見た作品が!
松本秋則さん公式HP:ここから作品が見れます

次は横浜美術館へと移動。
ここで一番良かったのはブランクーシの『空間の鳥』でした。ブランクーシの彫刻は、世界から純粋な美しさだけを抽出したらこうなるんだろうな、と思わせるフォルムをしています。

最近MIMOCAで展覧会のあった杉本博司さんの作品もあったのでメモ。

オノ・ヨーコさんからの電話は残念ながらかかってきませんでしたw

今回のヨコハマトリエンナーレのテーマは『OUR MAGIC HOUR―世界はどこまで知ることができるか?』だそうです。
チラシやチケットには、「マジックアワー」の夕空さながらの優しく美しいグラデーションに銀の文字が印刷されています。性的・暴力的な作品を省き、ちょっとした不思議を問いかけるような作品がセレクトされていたように思います。

そういえば、最近は雑誌なんかで「週末はアートに触れて感性を取り戻そう!」という記事をよく見かけます。美術をアートと呼びサプリメントのように摂取することを促しているのには違和感を感じるのですが、私だけでしょうか…?