tete-a-tete

夕凪ショウの同人活動の他、行った場所や観た映画などの記録です。

展覧会いくつか

いくつか展覧会を見に行きました。

◆座っ展(すわってん)
木工家さんの椅子が約30脚、それぞれ座って良いというものでした。横揺れのロッキングチェアがあったのが珍しかったです。肘掛が片方だけの椅子もかっこよかった。久々のメンバーで楽しかったです(*^ヮ^)
リヒテンシュタイン
作者不詳でしたが17世紀の貴石象嵌のテーブルトップがすごく魅力的でした。透明感のある、光の角度によって色味の変わる鉱物の質感と、瑞々しい果実や草花、鳥の羽の光沢がうまく重なって。図柄に人がいないのも受け入れやすい理由の一つだったかも。家具にも建物にもやたらとガーゴイルのごとく顔が入るのはやっぱり…落ち着かないw
ヤン・ブリューゲル2世「死の勝利」 こわいけどすみずみまで見てしまう。
ヤン・ブークホルスト「アフリカの寓意−『四大陸』連作より」(1650頃)西洋絵画で、黒人の少女が主題になってるのは初めて見たような。チャーミングに描かれてました。
最後の展示室はルーベンスでした。
マルスとレア・シルヴィア」かまどの女神に仕える巫女レア・シルヴィアの元へ軍神マルスが告白にやってきた場面。少女漫画ならドキン…!ってな巫女のときめいた表情に見とれてしまう。
「果物籠を持つサテュロスと召使いの娘」ほ〜ら旨いぞたんと食え!と、ぶどう山盛りの籠持ったおっちゃん、かわいい。同じ絵を見ていた別の方が「みずみずしいね〜」と言っていたように、ルーベンスの展示室でだけは他と違って、題材は知らなくとも人物がいきいきと瑞々しい。純粋さというか人懐っこさというか。違和感なく見られる。
◆しむらの色KYOTO@細見美術館
染を終え織る前の絹糸こそ美しいと思ってしまった。志村ふくみさんによる陰翳礼讃の書があったのだけど、なぜ厠の場面が展示されていたのか…おもしろかった…

関係ないけどその日にとった写真。花はラナンキュラスというそう。
狩野山楽・山雪
初めて作品解説それ自身が面白かった展覧会。大抵は「師○○の影響を受けた○世紀の〜」「○○として評価が高い」「○○の描写には技術の高さが伺える」云々、作品の予備知識などが書かれたややかたい、きちんとした文章だが、今回は違った。この絵はこの部分とこの部分がすごいんだ!うおおというような語り口で、擬音語やカタカナも多かった。書き出しが「新発見。」ってそんな新食感とか新発売みたいな、とか、「ビジュアル効果」ってこういう場では日本語の方がふさわしいとか言われなかったのかな…とか、絵だけでなく解説にもツッコミ入れながら楽しく見させていただきましたm(_ _)m 先入観なく絵を見るにはタイトルも解説も邪魔だ、あったとしてもそんな語り口は鬱陶しい、という人もいるだろうけど、解説は解説として面白く、書いた人(若い人なのかなぁ)の作品への愛が伝わってきて良かったです。
狩野山雪「猿候図」「松梟図」では猿や梟が可愛らしく、それどころか龍虎図ですら目が可愛らしい。解説には「情けない表情」とまで書かれていたw 
確か「雨龍・雪梅・風竹図」で、竹の一節が描かれた小さな水墨画、筆に含ませた水分がそのまま竹の瑞々しさを示すような、色んなものをねたねた塗り重ねるより潔くてかっこいい。
小さな草花の絵にもたっぷりと金が用いられていて、描かれた内容も絵も金と等しい価値かとちょっと嬉しい。
「雪汀水禽図屏風」波の表現が異様。
リヒテンシュタイン展の後にはしごしたのですが、ずっと親しみやすいのは日本のものだからでしょうか。どんなふうに見えるか、質感のリアルさを目指す油彩画とはまた違って、図案、絵、明らかに描かれたものだけど、その様が容易に感じ取れるのは、松や竹がどんなものか、山並みの空気や海岸の音がどんなものか知っているから?とすれば、ヨーロッパのそれを知ればもっと西洋絵画が楽しめるのかな…。
絵葉書ではトリミングが激しく、確かに記憶に留めるには有効だけど、あの襖絵の大きさでこその印象を上書きしたくないなと買って帰らず。いやー楽しかった!
ボストン美術館
贅沢な展覧会でした。
毘沙門天像」毘沙門天の足元の鬼が鬼なのにかわいい(*´`)仏画を面白く見たのは初めてな気がします。他の作品もそうでしたが、状態がすごく良い。
「吉備大臣入唐絵巻」人物の頬がピンクなのがかわいいw 筆でぴょいぴょいと描いただけのように見える、人物の表情がどれもユーモラス。「平治の乱絵巻」も同じく、圧倒的なのにユーモラスw 見ていて楽しんでしまうのは、一場面だけでなく時系列順に流れてどんどん変化するから?映画のようでもあるけど、気に入ったところを自分の思うままにじっくり見たり想像したりできる。
長谷川等伯「龍虎図屏風」一番良かったです。前の絵を見終えて、ふと自分の目がその絵を捉えた時の、ぞわっとする感じ、久々に味わいました。龍の頭と片手の一部だけ、屏風の上からぬうと現れ出た姿、たった何本かだけの曲線で描かれた雲。流木のような角、濃霧の湿度、とにかく素晴らしい。
ラストは曽我蕭白。目玉の「雲龍図」、構図を考えて意図的にはみ出したのでなく、描き始めたらはみ出しちゃったんでしょ、と思わずにいられないエネルギー。確かにこれは最後に持ってくるべきだろうけど、後味がいいのか悪いのかw
同じボストン美術館展の感想、フォロワーさんのを勝手にとぅぎゃりました。ぺたり。http://togetter.com/li/501951