◆「富田勲×初音ミク 無限大の旅路〜イーハトーヴ交響曲〜@大阪公演」観てきました。
開場すぐの状態。前半の演奏は、オーケストラの楽器で日本風の音を出していて面白かったです。
◆前半の開演直前、客席に富田さんが登場して、普通に座ってらして、うおお写真で見た人がいる!ってなりました。休憩に入るとすぐ、そっと退出されてました。
◆休憩中、客席を見渡してみると、ちらほらとミクファンらしき人達がいました。ファミマのミクポロシャツを着た若い男性、ミクV3のチラシを3人で覗き込んで話している女の子たち、あと何故か綺麗なスーツを着込んだおじいさんが、涼しい顔でミクさんのお面をつけてる姿がw お孫さんにでも被せられて、ご自身はよく分かってないのではないかとか…。
ただ、ミクファンの姿はそれほど目立たず、合唱団の父兄でしょうか、いかにもオーケストラ聴きに来ました!!って感じではない、普通の人達が殆どだったように思います。
私自身、大阪という土地に馴染みがあるからか、ステージと客席にあまり隔たりがないような、全体に気負わない空気を感じました。でも後半の幕が開くと、ピリッとした緊張感が付加されていました。
◆後半開始前、ミクさん用のディスプレイが姿を現しました。
◆休憩が終わると、指揮の河合さんと富田さんのお話がありました。
指揮の河合さんは「何度か打ち合わせをしたのですが…初めて音と映像を合わせて見たときに…あ、ミクちゃんかわいいなって、好きになりましたね(笑)」と、「かわいい」を連発w 客席もあったかい空気に。
河合さんは終幕後にミクさんを挨拶に呼ぶ場面でも、絶対楽しんでやってるだろwって感じで、嬉しくなりました。
それから富田さんは「今回は初音ミクというプリマドンナを呼びまして…でも私が女王様よ!ってプリマではなく、謙虚で、みんなを盛り立ててくれるような不思議な存在です。ミクプレーヤーさんの性格が表れてるんでしょうね。」
続くお話は、この日が宮沢賢治の命日であったこと。富田先生が、戦争の色濃い少年時代に風の又三郎の映画を観て感銘を受けた、その記憶が70年経っても薄れないこと。そして、風の又三郎にふさわしい役者を、なかなか見いだせなかったこと。ミクを知った時、この役を演じられるのは彼女しかないと思ったこと。伊藤社長に話を持ちかけたとき、リアルタイムで歌わせるのは無理だと初めは断られたこと。しかし最終的には、本物の人間より人形に演じさせた方がそれらしいんじゃないか、おもしろいんじゃないかという、日本のお家芸によって、初音ミクのリアルタイム演奏が実現されたこと。確かこのような内容でした。
◆さて、富田先生が話されてる時点でうるうるきてたのですが、演奏が始まると号泣しっぱなしでした(^−^;
初めの「岩手山の大鷲」のコーラスが始まった辺りから完全に涙腺に来て、「銀河鉄道の夜」から「雨にもまけず」でもう鼻もつまる勢いで、左右の人ごめんなさいと思いながらボロボロ泣いてました。
右隣の方は特に変化なさげだったのですが、左隣の方は男性お一人で来てらして、帰り際に眼鏡の下で涙を拭ってたのでおそらく('A`)人('A`)ナカーマかと思うのですが、「良かったですね!!(;ヮ;)」って話しかけたくなるのをぐっと堪えました。でもやっぱり一言声かけても良かったかな…。
◆オーケストラと合唱団の編成でしたが、特に児童合唱団はずるいです。あの伸びやかさ、透明感。楽器もそうでしたが、人の声の方がそれぞれ違うと実感できて、違うものが同じ方向を向いて重なり合ったときのエネルギーすごいなって思いました。単純に音としても大きな存在でしたが、それぞれの顔や姿が見えるので、各人がどんな事情でどんな気持ちで歌ってるのかな、って考えると、単なる音響以上の存在として浮かび上がってきました。
◆ミクさんは、画面に現れた瞬間、場の空気を持っていってました。それくらい異質で、でも魅力的でした。言うまでも無いかもしれませんが銀河鉄道は最高でした。「ケンタウルスよ 霜降らせ シャラシャラシャラ キンコンカン コロンカランコロン…」東京公演の中継を見たときは、もっとうまく歌えるんじゃないの?と思った場面もありましたが、今回、完璧に歌ってました。モデルが美しいのと、モーションの振り付けがバレエだったのも良かったです。バレエのステップで踊ってて、つま先まで美しかったです。あと宇宙に浮いた演出、初めて見た気がしたけど…記憶違いかも。
◆人間のレイヤー、物語のレイヤーが多くて、分厚くて、でもアットホームでした。スケールは東京公演には劣るかもしれませんが、発表会で娘の晴れ舞台を見に来たというか、世界最高峰のプロフェッショナルが云々というのとまた別種の感動でした。お前ら=俺らの場、という感覚。
◆アンコールも良かったですね…アンコールまでセットリストわかってるので「次あれくる!あれくる!きたー!うわぁぁぁ(泣」って感じでした。
◆◆◆
◆その後、サクラファミリア(カトリック大阪梅田教会)へ演奏会を聴きに行きました。
「慈しみと希望のコンソート」と題されたこの演奏会、ゲストにヴィーラント・クイケン氏を招くとのことで、これは行かねばなるまいと。
◆演奏者さんの中でも、ヴィーラントさんの音はパリッと張りがあって、高みに突き抜けていました。(他の日本の方の演奏はもっと、湿気を含んでいるような印象。)鍛え抜かれた日本刀が、逆に柔らかく見えるような、ブランクーシの「鳥」のようなフォルムで、肌を切れば傷口のふさがりにくそうな、そういう音でした。でもご本人、他の方が弾き始めた後に眼鏡を取り落しちゃって「あっごめん」みたいな…w だからというわけでは無いですが、だんだん聞こえている音の現実味が薄れていって、録音されている音楽が流れていて、演奏者が動いている姿が見えているだけのような、そんな感覚も覚えました。
◆曲目では3声のファンタジア/J.ブル、5声のコンソート組曲ハ短調/W.ローズ(最後5本合わすのがよかった)、6声のコンソート組曲ト短調/W.ローズが素敵でした。アンコールは7声のイン・ノミネ/パーセルで、ガンバが7本というのはなかなか無いのでは…?と。
◆演奏の合間の沈黙も御馳走でした。上村かおりさんの演奏も良かったです。
◆前の週の日曜日のような衝撃は無かったのですが、やっぱりヴィーラントさんの演奏は異次元なので、発狂しても仕方ないなって思いました。
色紙を切って作ったお手紙みたいなの入ってました。
◆1日に2つも観てしまって、帰りは爆睡でした。