この一年くらい展覧会に行こうという気持ちが遠のいていたのだけど、また戻ってきた感じがする。
◆ベスト・オブ・ザ・ベスト展@ブリヂストン美術館
念願のカイユボット見れて良かった。
シスレー「森へ行く女たち」、藤島武二「ローマの遺跡」は旅行先の空気を思い出した。
ピエール・ボナール「桃」、これがすごく良くて、桃の産毛に触れて、窪みに指を沿わせて、爪を立てて皮を破る想像を引き出されて、同時に、狭い部屋に充満する芳香や唾液腺を刺激する酸味まで連想できて、あれはすごい絵だった。感想としてはキモいけどそれぐらいの力があった。ハンス・ホフマン「Push and Pull Ⅱ」、画面上の点や線が押したり引いたりすることで動きや立体を描ける云々。
ザオ・ウーキー「07.06.85」、堂本尚朗「連続の溶解9」、画面に描かれた以上の広がりを感じさせてた。
白髪一雄「観音普陀落浄土」座れそう。
◆ワシントン・ナショナル・ギャラリー展@三菱一号館美術館
ウジェーヌ・ブーダン「トゥルーヴィルの浜辺」良かった。記号にならずとも面影を固定できるの、デッサン力の賜物、だけじゃなくて画家本人もこれはうまくいった、って思う奇跡とか偶然の要素ありそう。
オディロン・ルドン「ブルターニュの村」、描かれてるのは村の風景だけど、描きとめられてるのは気持ちとか感覚で、描いた本人じゃなくて絵を見る人から情感を引き出す釣り針になるのは記号のはずなんだけど、もっと尊さとか一回性というか、逆の性質のものがある…うーん。
アントワーヌ・ヴォロン「バターの塊」、油絵具でバター描くのはずるいw
エドゥアール・ヴュイヤール「黒い服の女性」、解説パネルに非常に私的な風景というようなことが書いてあってふうんと思った。
◆MOMATの常設展に寄った。
誰の何という絵かメモするのを忘れたけど、岩の渓谷に桜が舞う屏風、閑散とした展示室で一人その絵を眺めている人が居て、少し離れたところに私も座った。
◆御茶ノ水で晩御飯の約束をしていて、待ち合わせまでの間にふらっと入ってみたニコライ堂、夜のお祈りの時間だったようで、案内されるがままにろうそくを灯してきた。すごくすごく綺麗だった。
覗いたのは10分ほどだったけど、夜の色とろうそくと、鈴の音と歌声と。絵や彫刻の美しさとまた少し違って、人間と、人間から少し離れたものの美しさみたいな。振り香炉の煙の匂いはそんなに馴染みないものでも無かった。