tete-a-tete

夕凪ショウの同人活動の他、行った場所や観た映画などの記録です。

『三代徳田八十吉展』

ぐずつく天気の中、『追悼 人間国宝 三大徳田八十吉展 〜煌めく色彩の世界〜』をみてきました。
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kyouiku/bunkabu/bijyutu/ex_special/s232.html

展示室に入って初めには、江戸時代の色絵磁器が飾られています。
歴史資料館を思わせるような伝統的な絵柄と風化した色合いのうつわ。

色絵磁器の画法に点描があること、作品の解説に添えてあった「文様から文様を作るな、写生からデザインをおこせ」って言葉、をメモ。

今回の展覧会は三代ご自身の言葉で解説が添えてあったのがおもしろくて、それを読みながらゆらゆら足を進めてたのですが、
それ が視界に入った時 思わず硬直しました。
東京で応挙の雪松図屏風を初めて見た時のように、ぞくっとしました。
白い展示台の上でライトに照らされ、てらてら輝く濃紺色の物体が五つ。『深厚燿彩壺』です。2010年宇宙の旅に登場するモノリスのような、異様な存在感を放っていました。

ここからがらっと雰囲気が変わって、三代の現代陶芸が並びます。
碧明燿彩壺:明るい水色の丸い壷は、みずみずしい大気を持った惑星みたい。ここでマクロスFのコロニーを連想するあたりオタクな私←
燿彩鉢『心円』:グラデーションの中心は、底無しの海か無限遠の宇宙空間を覗き込んだような濃紺。
濡れたような釉薬の透明感と完全で滑らかなフォルム。何かおそろしさを感じさせる、神的なものを思わせる佇まい。
とか、なんだか厨二病みたいにやたら壮大な言葉を使ってるけど、実際そんな感じだったんだお!作品の題も臨界とか恒河とかなんだお!壷とかどう見ても宇宙人からの贈り物だったお!!(´Д`;)

石畳→臨界→未来→芽生の鉢 焼成の度に釉薬が流れて模様が変化する様が、他にない面白さ。
あと小紋柄が入ってる鉢の緑色がすごくきれいだった。
三代はフォンタナの線に触発されたとの解説があって、直島でみた李禹煥の、キャンバスに線が一本だけ描いてある絵が印象的だったのを思い出した。




木にも石にも金属にもない、陶器の素材感での抽象表現。
原始古代から古典、色々あって抽象表現、その先は現代アート
常設展示が現代アートだったのですが、木や石でつくられたものが千年でももつことを思うと、映像作品とかCGが空をつかむような創作に思えてしまう。
物体でなくデータ、というのが脆いもののように思えるけど、伝統芸能の舞とかもある意味データ…かな?簡単に完全なコピーがとれるから、保存するのは逆に容易いかも。

そのうち美術館で鑑賞する彫刻が3Dホログラムなのが普通になったりするのかなぁ。所蔵作品は全てデータで、その容量を誇る…

と、毎度ながら最期は独り言になってしまう感想文ですた。
なんにせ日常を一時忘れるくらい壮大な展覧会でした!見に行って良かった^^