tete-a-tete

夕凪ショウの同人活動の他、行った場所や観た映画などの記録です。

瀬戸内国際芸術祭2010 レポートそのご

*直島*

ベネッセハウスミュージアム
玄関にはジャコメッティホックニーポロック、ウォーホルと、なんとも豪華なコレクション。
個人的には、初めて見た杉本博司さんの写真が印象的でした。だんだんと靄が晴れていく海の様子…

カフェの奥にあるテレビ型の水槽の作品は、緑に濁った水の奥からふうっと金魚の姿が現れては消え、とても生々しかったです。

地中美術館
モネの部屋は、空調と照明とが人工的に完璧に調整された空間でした。
白いスリッパに履き替え、天井の高い、真四角で真白な部屋に通されます。床に敷き詰められたタイルも柔らかな白い石で、係りの人も白装束です。

間接照明が用いられ、さらに壁の四隅がカーブしているため、無機質で柔らかな白がぼうっと広がっていくかのような感覚にとらわれます。

クーラーの効いた部屋で夜中にネトしてるみたいな現代人の快適さとでも言ったらいいのでしょうか…
モネの作品自体はともかく、部屋が良かったです。
でもその部屋は作品のためにと作られたもので、デザインを引き出したのは作品の方…なんでしょうか


ジェームズ・タレルのオープン・スカイ
白い箱のような部屋に入って、天井の窓から空だけが見える
天井が高くその厚みが感じられないので、自分が小さくなって骨壷に入っているかのような感覚
壁にもたれて空を眺めていると、かすかに頬に風が感じられました
夜にも来てみたいです


ウォルター・デ・マリアの作品
部屋に足を踏み入れた時、なぜか怖いと感じました。
部屋の構成が祭壇を彷彿とさせました。

10 李禹煥美術館
初めてこの方の作品をちゃんと見たわけですが、好みでした。
壁に鉄板が立てかけられ、その前に岩が置かれている部屋。
文庫本の表紙デザインにありそうな感じ。
ライトに照らされた岩は、何かを祈っているように見えます。
美術館があって作品があるのではなく、作品のためにハコをオーダーメイドするのは贅沢に思えるのですが
作品が置かれていて、その部屋を額縁として一枚の絵とする手法では
作品と部屋は共生している?
そうでしか成り立たない作品は弱いもの?
例えば印象派の画家たちは、光をいかにして画面に定着させるかに心を砕いたわけですが、絵の中に光を描くのを諦めて(?)、本物の光自身を構成要因として空間を提示するのが現代流なんだろうか

…なんてことを考えました。

直島の本村の町並みは由緒正しいお屋敷が沢山あって驚きました。
香川大学の経済学部生が経営しているカフェにも行きたかったのですが、あいにく定休日でした;

さてさて…とうとうMVPの発表です(笑
5 千住博 家プロジェクト
なんていうか、もう、最高でした。
約100年前に建てられたというお屋敷を改装し、襖絵と滝の絵が展示されています。
見た瞬間にドカンと迫力が伝わってくる襖絵。
モダンな描き方の日本画です。
岩肌が迫り、木々が現れ、やがて全てがとっくりと霧に飲み込まれてゆく様が、たまりません。
掛け軸の、満開の桜の木のような繊細な筆遣いにも恍惚としました。
そして最後に≪ザ・フォールズ≫
立派な蔵の中に幅15mの滝の絵が堂々とあります。蛍光塗料の青い滝より、やっぱり紺地に白の滝がいいですね。
千住博はニューヨークでも活躍してるけど、アメリカ人にこの良さは解らんだろと思ってたけど、…これは解るな」と、一緒に訪れた恩師がつぶやいていましたが、全くその通りだと思いました。
言語とか文化をとっぱらってもこの滝の佇まいには訴えうるものがあります。



瀬戸内国際芸術祭は、アート作品を巡るという名目で島々の旅のリゾート気分を味わうという側面が少なからずあると思います。
アートと島のどちらの比重が大きいかは人によるでしょう。
その点を否定する気は無いのですが、これが芸術?わからないわね、と思われてしまうのが私は嫌です。
今回の作品は例えば暗い部屋に入るとか、鏡や照明を用いて錯覚をもたらすとかいったような体感型の作品が多く、
だからこそアトラクション感覚で多くの人が所謂芸術の敷居の高さを感じることなく楽しむことができるのですが
美術というよりもアート、って感じです。
アートと芸術と美術の定義は曖昧ですが、やはり美しさを求めるものが美術だと思うのです。
だからそもそもこの芸術祭では美術だとはうたってないんでしょうが…
芸術祭をまわって、美しいな、と感じたのは千住さんの滝の絵くらいでした。
千住さんの作品は悪く言えば優等生、ということかもしれません。
なにはともあれ、今は千住さんが大好きです!←


…色々と偉そうなことを言ってしまいました^^;
最後はこれで締めたいと思います!

4 直島銭湯 I❤湯
どう見てもただの初音ミクです、本当に(ry